NHK新潟ラジオ「朝の随想」より

第11回  日本酒のラベルを読もう


 新潟県は一人当たりの清酒消費量が全国で一番多い県です。贈答用等に使う分もあるでしょうが、いづれにしろ日本酒好きの人口が多い県であることは間違いありません。これだけおいしい酒に囲まれているのですから、それも然り。夜ともなると、会社帰りに一杯傾ける人たちがあふれる様子はいいものです。


 ところで、普段飲んでいる日本酒について、どれ位ご存知でしょう。一般的に、一つの蔵でも数種類から数十種類の酒を造っていて、同じ銘柄でも、種類によってそれぞれにいろんな特徴があるのです。
 

 知っているようで、あまり知られていない、そんな種類と特徴を解く鍵は、実は日本酒のラベルにあります。
 

 まず、ラベルを見ると、大きく銘柄が書いてあります。その銘柄のそばに、大吟醸、吟醸酒、本醸造などの記述が書いてあるものがあります。これらは「特定名称酒」と呼ばれる区分の酒で、一般に広く飲まれている普通酒よりも少し高価なものです。
 

 本醸造は酒米を70%以下に精米したもの、吟醸酒は60%以下、大吟醸は50%以下に精米した酒米を使用しています。
 

 次に「原材料名」という部分を見て下さい。先程の三つの酒の原料としては、米・米麹、醸造用アルコールと書かれています。一方、ここが米、米麹のみ書かれているのが、「純米」と名の付く種類のもので、こちらもそれぞれ米の精米歩合によって、純米酒、純米吟醸、純米大吟醸に分かれています。
 

 さらに、そのラベル、又はボトルの裏側のラベルに「日本酒度」なるものが記載されているものが最近増えています。日本酒度とは、その酒の甘辛を数字で表した尺度です。プラスが大きい程辛口、小さい数字からマイナスになるほど甘口として表現されます。飲食店の酒のメニューに、この数字が載ることも多くなっています。
 

 一般的に米をより多く削って作った酒は、「吟香」と呼ばれる、独特の果物や花を思わせる香りがします。また、純米酒は米の旨みを感じる味になる傾向があります。
 

 酒の種類は他にもたくさんあって言い尽くせないのですが、今日はごく一般的な「ラベルの読み方」をお話してみました。
 ただし、同じ種類や数値でも、蔵によって味わいが全く違うこともあります。それはそれで、日本酒が持つ不思議な魅力です。
 ラベルを読み解きながら、自分なりの飲み比べをするのも、日本酒との楽しいお付き合いになることと思います。
 


2006・6・15 NHKラジオ「朝の随想」  
真野鶴醸造元・尾畑酒造株式会社
尾畑留美子