NHK新潟ラジオ「朝の随想」より

第一回  「酒の陣」で乾杯!

 

 新潟と言えば酒処として有名ですが、ここ新潟にはいくつの蔵元があるかご存知でしょうか?現在、酒造組合に加盟している蔵元数は九十七あり、全国でも兵庫県に次いで二番目に多い地酒の産地です。


 そんな数多くの新潟のお酒を味わえるイベント「にいがた酒の陣」が去る三月十八、十九日に新潟市の朱鷺メッセで開催されました。今年で三回目を迎えたこの「酒の陣」には、県内のほぼ全蔵元が自慢の清酒を持ち寄って参加。今年は二日間で過去最多のおよそ五万七千人の方が来場され、県内はもちろん、全国の日本酒ファンの方々に喜んで頂ける一大イベントとなりました。
私も二日間蔵元として参加しておりましたが、まずは皆さん、その蔵元の数の多さに圧倒されるようです。入口からイベント会場を見渡すと、色とりどりのお酒のボトルでいっぱいのブースが会場狭しと並んでいます。会場に足を踏み入れた瞬間、「地酒王国」の名にふさわしい圧巻の光景に、まずは目から酔いしれるというところでしょうか。


 そして入口で「新潟淡麗」のロゴ入り利き猪口と特製の仕込み水を受け取って進むと、次に目に飛び込むのはグリーンの大きなタンクです。これは新しい酒米「越淡麗」で仕込んだお酒を試飲できるスペースのシンボル。「越淡麗」は酒米としてよく知られている五百万石と山田錦を掛け合わせた、新潟オリジナルの酒米。構想から十五年をかけ、新潟の酒業界の将来を担う酒米として遂に完成したものです。今回の「酒の陣」でお披露目となったのですが、出来たお酒の味わいは深みがあって後味の切れが好い、まさに二つの酒米の良いところが出ていて大変好評でした。


 他にも「利き酒大会」や酒に合う新潟の食も取り揃え、会場は大盛況でした。もちろん、酒蔵各ブースもたくさんのお客様で賑わっていました。すべての蔵をまわるべくはじから順番に行く人、お目当ての蔵に直行する人、今まで飲んだことのない蔵を試していく人。飲み方はいろいろですが、それぞれの酒を飲み進むにつれ、今度はその個性豊かな味の競演ぶりに、新潟地酒の質の高さと奥深さを感じて頂けます。年々、各蔵もブースの飾りつけなどに趣向をこらして、それと同時に遠方からのお客様や業界のバイヤーの方のご来場も増えてまいりました。


 新潟のおいしさを二日間たっぷり堪能して頂けるこの「酒の陣」、多くの方々と地酒を通して出会えるのが私の最大の楽しみです。造り手と飲み手、そしてお客様同士も気が付いたら親しくなっている。そんな不思議な魔法がこの空間にはあるようです。
 

 まだ未体験の方はぜひ来年、盃を酌み交わしにご来場ください!
 

2006.4.6NHKラジオ「朝の随想」第一回
 真野鶴醸造元・尾畑酒造株式会社
 尾畑留美子